2010年01月25日

陳良宇のムショ暮らしが悪くない件

 胡錦濤は先日の中央規律検査委員会の会議で「党の清廉な政治制度確立」を目指すため、党員の教育や監督制度の強化を訴えているのですが、中央規律検査委員会は政敵倒しに使われているのが現状です。

 四人組以来の政治局委員でその餌食となった陳希同は、90年代に北京市トップの党委書記を務め、市長時代の89年には李鵬や李錫銘らとトウ小平を煽って学生に強硬に臨ませ、天安門事件に突っ走らせたお人。江沢民時代の95年に汚職容疑で全職務から解任されています。この事件を題材にしたのが『天怒』で、翻訳の水準がアレなのは目をつぶって下さい。

 陳良宇の失脚はこのブログではスルーしていました。上海市トップの党委書記で、出世スピードが半端じゃなかった上海閥の次世代機。2006年に同じく汚職の嫌疑をかけられ、翌2007年に党籍剥奪+懲役18年の刑で、有名人が集まる秦城監獄に収監されています。四人組も鮑トウも入ってました。

 陳希同は末期のガンで保釈されたと読んだ気がするのですが、詳しいところは仕入れていなかったのでなかなか面白く読めました。。

 陳希同、陳良宇の近況(2009/12/30 羊城晩報)
http://politics.people.com.cn/GB/1026/10682895.html
 秦城監獄は90年代に省長及び部(省庁)長クラスの汚職官僚を対象として生まれ変わり、上記2名の他に田鳳山(国土資源部長)、李嘉廷(雲南省党委副書記、省長)、劉方仁(貴州省党委書記)、李紀周(公安部副部長)、邱暁華(国家統計局局長)、張恩照(中国建設銀行董事長)、劉志華(北京市副市長)とさながら同窓会状態。

 気になる陳希同は2004年に北京復興医院に入院後、関係部門に「保護」を申請してからは病院の高級幹部病棟暮らしで、今は監獄にはおらず、直腸ガンの末期で生命維持装置に繋がれてながら死の瞬間を待っている状態のようです。

 陳希同今年64歳の陳良宇は20平方メートル程度の個室に収監されています。囚人服の着用は義務付けされておらず、一応24時間の監視が出来る作りにはなっているものの、新聞や本、テレビを見られるほか、個室を出て太極拳、散歩、書き物をしたり出来る程度の自由はあるとのこと。

 洗濯機、洋式トイレも個室にあるそうですが、60過ぎの元官僚が自ら洗濯するとは思えないので、誰かに囚人服代わりに来ているシャツを洗っているのでしょう。

 去年の6月に香港のフェニックスTVが「200平方メートル近い大部屋を与えられている」「食費を提供して好きなものを食べている」と報じて問題視されたため、「彼が買い物をするときは小学生用の机を貸し出す」といった実態を紹介して、「誘惑に打ち勝てなかった高官が絶え間なく秦城監獄に入っていく」と結んで「汚職、ダメ」を強調しているのですが、陳希同はともかく陳良宇はどう読んでも特別待遇ですよね。

 ちなみに、上海市開発の汚職容疑で、故・黄菊さんの元秘書が受け取った賄賂の総額は1290万元で、死刑判決。この人は陳さんを高速道路の経営権取得を狙っていた某富豪に紹介しています。

 一方の陳さんは賄賂1億元+社会保障局の資金10億元を乱用していたのですが、最終審理で「党と上海市人民に申し訳ない」と改悛の姿勢を見せたのが利いたのか懲役18年でした。大人しくしているのかと思えばこの厚遇。

 中紀委が党内部の監査機関である内は正常に働きません。大物党員が解任もしくは党籍剥奪、懲役刑を科せられると、中紀委はき決まって「いかなる高位の党員であろうと関係ない」と大見得を切るんですが、一般人は陳良宇の過ごす監獄には入れません。それを明かしてどういうつもりなのでしょうね。

 
http://news.xinhuanet.com/politics/2010-01/12/content_12797879.htm
http://big5.china.com/gate/big5/culture.china.com/zh_cn/info/hot/11022810/20091231/15758854_2.html

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2010年01月23日

『趙紫陽 極秘回想録 天安門事件「大弾圧」の舞台裏! 』

 昨年中国語版や英語版が出ていた、趙紫陽の肉声による回顧録をテープ起こししたものが、日本語でも発売されました。5周年記念に何とか間に合いましたね。

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 『趙紫陽--中国共産党への遺言と「軟禁」15余年』と内容は重なる箇所があるものの、『軟禁』が1989年の天安門事件とインタビュー当時の現状について紙面を割いているのに対して、『極秘回顧録』は文字通りの回顧録。趙紫陽の総理就任からずっと李鵬と姚依林と李先念に足を引っ張られっぱなしなのがわかります。私は総理在任時の知識が全然無いのでありがたいです。

 同じ保守派でも陳雲より李先念の方が趙紫陽を嫌っており、陳雲死去の際には弔問に行こうとしたこと、「方法論については相違はあるが尊敬できる人物」と評し、彭真にも同様に弔問に向かう意思があったと話していますが、李先念についてはスルーしているなど趙紫陽も人の子なのかなと感じてしまいます。

 天安門事件前後では、政治局拡大会議での政治局委員以外の出席者に表決権を与えたり、四中全会で無記名ではなく挙手による趙紫陽の解任動議を行ったことなどが語られ、挙手による投票の可視化を強行したのは無記名では解任に必要な2/3を集められないとトウ小平が判断したからだ、などと解任に至るまで合法的な手続きを経てこなかったと指摘しています。

 『軟禁』でも触れられていますが、『回顧録』では趙紫陽に対する軟禁措置から罪状認定や、そこまでのプロセス全てが違法で、長老らは違法性など全く気にしていないというのがもうね。文化大革命が天安門事件を引き起こしたのが嫌と言うほどわかってしまうシーンです。

 ただ、私としてはこの2冊とも趙紫陽の一方的な語りであり、本書と『軟禁』両方とも前書き後書きともに全肯定なのがちょっと。語りを検証するのが日本語版の役目じゃないかと思ったりするのですが、それは矢吹先生の仕事ですかそうですか。

 それはさておき、喬石や万里、胡啓立、田紀雲らからの視点で見た80年代というのも読みたいところです。胡啓立はかつての上司だった胡耀邦については手記が出ていますけど、一緒にクビになった趙紫陽については読んだことが無いので是非。
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2010年01月21日

江沢民が消えた

 ご無沙汰しております。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 私は昨年後半から転職やら引越しやらに時間を取られてしまい、なかなかこちらまで手が回らず今日まで1ヶ月間も放置してしまいました。

 仕事を辞めてからは貯金を食いつぶす毎日で、危うくニートになるところでした。「次の仕事を決めてから辞めろよ」というご批判はなしでお願いします。もうね、面接とかマンドクセ。ほぼ振り出しからのリスタートもマンドクセ。一生いられるよう最初にちゃんと会社を選んだ人を、私は尊敬します。

 運良くさっさと新しい仕事にはありついたものの、そこは下っ端からのリスタートですから今日の今日まで・・・といったところです。

 読みかけの本を地道にこなしていったりはしているのですが、ネタをばっちり仕入れているかと言えばそうではないので、今回は皆さんにも身近な江沢民さんの話題でもどうかと。

 江沢民さんは2002年まで共産党総書記を務め、毛沢東、トウ小平に続く第三世代の中心人物として、衰えたとはいえ現在に至るまで影響力を党内に残しています。

 引退してからも、第三世代では唯一党と国家の指導者として常務委員に割り込んで胡錦濤大先生の次に序列される待遇で、古参同志の葬儀でそれが何度も確認できています。

 昨年10月1日の建国記念日に行われた閲兵式でも、通常の引退した指導者とは異なり、現役の常務委員に混じって胡錦濤の後ろに並び、現役政治局委員らとその他大勢扱いで「え、いた?」みたいなことになった朱鎔基や李鵬との格の違いを見せつけ、腐っても総書記経験者である所を見せ付けています。

 これについては、朱鎔基と李瑞環に「どういうことだ」と詰め寄られた胡錦濤大先生が「いや、呼ばないですよ」と答えたものの、江沢民さんから「チケット1枚ください」と書かれた手紙をよこされ嫌々招待したという話が、まことしやかに噂されていました。

 そんなイベント大好きな江沢民さんも今年で81歳。数えなら82歳といつ死んでもおかしくない年齢です。昨年7月には列車事故に巻き込まれましたが、夫人だけではなく自分も心臓病であったため列車での移動になったこともわかっています。さすがに衰えは隠しきれないようです。

 もしかして江沢民さん危ないんじゃ、と思える出来事が19日にありました。ハイチに治安維持に出ていた中国人警察官からも8人の被災者が出て、その追悼式が烈士御用達の八宝山で行われたのですが、江沢民さんが出席していませんでした。
 
http://news.xinhuanet.com/politics/2010-01/20/content_12844687.htm
http://news.xinhuanet.com/world/2010-01/20/content_12841238.htm
http://news.xinhuanet.com/world/2010-01/20/content_12841254.htm
 記事によると、「党中央と国家機関の関係各責任者、国連機構の駐中代表、ハイチ駐中商務代表などが送別に参列した」とあるのですが、いつもなら第二位で出席しているはずの江沢民さんは常務委員の中には見当たらず、政治局委員の後ろに来る他の引退した常務委員の中にもありません。列席していないのです。

 江沢民さんの名前が確認できるのは、「各種方式で亡くなった烈士に哀悼の意を表し、遺族に深い慰問を表した」箇所で、花輪か電報辺りをを送ったということになります。

 また依然として党と国家の指導者扱いになってはいるものの、いつもなら胡錦濤の次でに扱われる江沢民さんがいないのです。11月の谷牧、12月のンガペー・アワンジグメなど大物の葬儀には顔を出していたので、この1ヶ月で出席できない程度にまで体調を崩したという可能性が出てきました。去年の春先にひっくり返って体調不良が伝えられていた李鵬も出席しているのですが。

 これが単なる与太なのかはまだ不明ですが、香港紙も特に問題視する論評が出てきていないので、しばらく待ちたいと思います。
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2009年12月16日

本当なのか?王楽泉がウイグル自治区トップ解任?

 先月も5ヵ所の省でトップである党委書記が交代しました。若返りの一環という名目と同時に、胡春華のような中国共産主義青年団(中青団)出身者を潜り込ませるなど、胡錦濤大先生の影響力は拡大中。

 習近平の独走を許すなど最高権力者としては頼りない面もあるのですが、3年後の第18回党大会、あるいは8年後の第19回党大会までに子飼いを送り込んで引退後も影響力を保とうと必死なのです。

 さてタイトルの内容なのですが、少し前にそういった報道がありました。
 
 王楽泉北京に召還 孟建柱が新疆掌握(2009/12/13 明報)
http://hk.news.yahoo.com/article/091212/4/fmcq.html
 ハイレベルの人事情報で定評のある明報なので無碍には出来ません。

 王楽泉は1995年から新疆ウイグル自治区トップである党委書記を続けており、その特殊な地位から禁じられている3選を果たして15年目に突入していましたが、今年7月に発生したウイグル自治区における暴動発生の責任を負わされ解任され、後任には、暴動鎮圧の陣頭指揮に現地入りした政法委副書記兼公安部長の孟建柱に決まったと報じています。

 なお、王楽泉の中央政治局委員と、孟建柱の国務委員の肩書きは当分そのままで、孟建柱が兼任している公安部長は青海省の強衛・党委書記が引き継ぐとなっています。

 もし真実であれば、2006年9月に解任された陳良宇以来の政治局委員失脚となります。

 9月には毒を仕込んで注射する無差別テロで死者が多数発生し、治安に不安を抱いた漢族数千人がデモを行い、辞めろコールに晒されています。この治安維持失敗を受けて、9月以降は孟建柱がウイグル自治区の治安維持に当たっていたそうです。

 また、孟建柱公安部長の後任となる強衛は北京市共青団委書記、市政法委員会書記など公安部門の経験者であり大先生系統の人物と願ったりの人選です。

 王楽泉は12月5日に北京で開かれた経済工作会議に出席し、報道前日の12月12日には中央政治局委員、自治区党委書記として武装警察を慰問。続く15日には新疆経済工作会議に出席するなど生存確認が出来ています。また、新華社のサイトでは今のところ明報が報じたような人事異動は確認されていません。

 中央経済工作会議北京で開催 胡錦濤、温家宝ら重要講話(2009/12/7 香港文匯報)
http://paper.wenweipo.com/2009/12/08/CH0912080004.htm
 王楽泉ら指導者が武装警察を慰問(2009/12/15 新疆電視台)
http://big5.xinhuanet.com/gate/big5/www.xj.xinhuanet.com/2009-12/15/content_18504316.htm
 王楽泉「新疆への投資は拡大中 過去最大の規模」(2009/12/15 中国新聞網)
http://www.chinanews.com.cn/gn/news/2009/12-15/2019654.shtml
 ただ、中国の人事異動はトップに近づくほど唐突です。毒針事件以降は引責辞任を取らされるとの観測がいくつかあり、今回はかなり具体的な内容として出てきています。

 王楽泉は65歳と政治局委員の定年に達しており、これを理由に残りの任期3年間は閑職をあてがって飼い殺しにするのでは考えられますが、どういう力学が働いているのかは香港紙のエラい人に頼ることにします。
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2009年12月15日

ただの写真じゃないよ

 習近平訪日当日の14日、中国がいきなり特例を報じてきました。さらに鳩山擁護で、さながら解禁日みたいです。

 習副主席の特例会見問題で鳩山首相の指示を擁護 中国紙
http://sankei.jp.msn.com/world/china/091214/chn0912141700003-n1.htm

 【北京=矢板明夫】14日付の中国国営新華社通信傘下の国際情報紙、国際先駆導報は「鳩山由紀夫首相は中国のために天皇の慣例を破った」と題し、同日から訪日している習近平中国国家副主席と天皇陛下との会見問題を取り上げた。「民主党政権が誕生して以来、(同政権は)政治主導による『慣例』の改革を推進しており、今回の措置もその一環だ」と会見を手配した鳩山由紀夫首相を擁護した。

 さらに「大多数の日本の民衆は、天皇の健康状況が許す限り、中国の要人と会見してもかまわないとの認識を持っているはずだ。日本メディアはあら探しをしている」とこの件を大きく取り上げる日本メディアを批判し、「共通点を求めて相違点を残し、共に発展を求めることこそが今の中日関係の最優先事項だ」と結論づけた。

 また、共産党機関紙「人民日報」系の環球時報もこの件について「会見の時間調整という簡単な問題を野党や反対勢力が鳩山政権を攻撃するために、皇室の政治利用という問題に引き上げた」と分析する一方、「鳩山政権誕生以後、日中関係は良い方向に転じ、要人往来が頻繁に行われただけではなく、民間交流も活発化した」と鳩山政権の対中政策を高く評価した。
 環球時報は朝日新聞御用達である左巻き憲法学者の「政府が天皇陛下に賓客との会見を強く要求するのは、憲法上何ら問題は無い」との見解や、鳩さんの発言を紹介するなどに留めているからなのかまだネット上で読めます。

 一方の『国際先駆導報』の1面見出し(掲載は4面)は「天皇が中国のために慣例を破った」と鳩さんの件を飛ばしているためか、記事が見つかりません。

2009121501.jpg

 習近平訪日 天皇の外交的配慮が議論に(2009/12/14 環球時報)
http://world.huanqiu.com/roll/2009-12/659301.html
 目立つ習近平を少しでも抑えようとする胡錦濤大先生ですが、特例が中国主導だったことには触れていないようなので、対立しつつもそこら辺は「中国」の面子に関わる問題なので触れないようにしているのでしょう。

 私は政治利用しているようで、習近平の政治的箔付けに利用されていると最初から指摘してました。この写真を撮影したことで訪日の目的は完了しています。

2009121502.jpg

 1998年の国家副主席時代に訪日した胡錦濤でもやったことのない、特例でねじ込んでの会見、そして長身のオバマ大統領が90度折り曲げたのに対してでかい態度の習近平。まんまと利用されています。

 バカバカしいとお思いかもしれませんが、反日デモ最高潮の頃は時の外相だった町村氏が王毅くんに頭を下げたことになっていました。

 実際は王毅が外務省に呼び出され、反日デモを抑える気があるのかなどと、こってり絞られたのですが、習近平が次世代機のリーダーに相応しい箔と風格を備えたことになります。

 習近平が「今回、お忙しい中、わざわざ会見の機会をつくっていただいたことに深く感謝します」と陛下に礼を言うのも当然。無理に押せば言うことを聞いてしまう前例も作ってしまったことですし、そういう意味では天皇陛下と会見したこと事態よりも得たものは大きいことでしょう。

 際限なく要求が釣り上がるという意味の成語、「得寸進尺」の最初の一歩ということです。天皇陛下と会見したから次世代のトップになれるわけではありません。

 特例会見問題で首相「喜びの中でお迎えすべき」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091215/plc0912151024009-n1.htm

 鳩山由紀夫首相は15日午前、天皇陛下と中国の習近平国家副主席の特例会見への批判が高まっていることについて、「中国の副主席がおいでいただき、日本で活動されている最中にこういう状況になったことは大変残念だ。国民挙げて、将来のリーダーになれる可能性の高い方をもっと喜びの中でお迎えをすべきだ」と述べた。首相公邸前で記者団に語った。(後略)
 まんまと乗っている人はさておき、日本の報道もおざーさんの権力を見せ付けられましたみたいなのばかりで、中国の権力争いの片棒を担がされたという指摘がないのは情けない限りです。
タグ:得寸進尺
ニックネーム aquarelliste at 22:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする