2008年09月15日

土石流事故で孟学農引責辞任

 8日午前8時ごろ、山西省臨汾市にあるモグリ鉄鉱山を襲った土石流事故ですが、死者は14日18時までで254人にまで達しました。もちろん鉱山事故では今年最大規模となっています。

 山西省のモグリ炭鉱は表向きは一斉閉山された後も事故が相次いでいるので油断していたのですが、11日には予想を上回る三桁の被害者数(151人)をマークし、省長である孟学農が「省長であり全省の安全生産の責任者として、事故に遭われた方とそのご家族には謝意と哀悼を」とコメントを出しました。

 13日には鉱山のある襄汾県書記と県長が更迭。そして遺族に賠償金20万元を支払い、胡錦濤と温家宝が「重要指示」を出す、ここまではよくある流れです。

 孟学農山西省長を辞任、王君が代理省長就任(2008/09/14 17:32 新華網)
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-09/14/content_9990462.htm
 ところが孟学農が翌14日に辞任を申し出て、省人民大会常務委員会がこれを受理しました。辞任とありますが、引責によるものであることは、これまで人民が何らかの原因で多数死亡しても「省の安全生産責任者」である省長クラスの引責辞任例がほとんどないことから明らかです。

 国務院には「大型事故の行政責任追及に関する規定」というものがあるそうですが、詰め腹を切らされるのはせいぜい県クラスの指導者で上の方には及ばないため、規定など機能していないのです。

 日本の高校生が修学旅行中に鉄道事故に巻き込まれ多数の死者を出した1989年当時、鉄道部長を務めていた丁関根が辞任したことがありましたが、これは外国人で国際問題になりかねないので例外です。

 国家食品薬品監督管理局の局長が即効で死刑判決が下り、間髪いれずに死刑が執行されたのは去年ですが、これは中国が輸出していたペットフードやシロップに洒落にならない量の毒が入っていたためで、これも国際問題ですね。この人にはついでに国内の危険な薬品の責任もかぶってもらってました。

 対照的に事故現場のある山西省では、これまでも炭鉱事故で2桁、3桁クラスの死者を出す事故が頻発しても省書記や省長、さらには監督官庁で真っ先に責任をかぶるべき国家安全監督管理総局の李毅中局長も、「教訓を汲み取る」と再三言い続けながら、その教訓やら経験やらを活かされることはなく、任期中に責任が問われることもありませんでした。

 四川省ではバス事故で乗客51人全員の死亡が確認されましたが、四川省長が詰め腹を切らされるかどうか。2桁なのでどっちみち責任問題にまでは行かないでしょうけど。

 孟学農は13日には省長として改めて事故処理に対して指示を出していながら、その翌日には辞任が受理されるというスピード人事、何事かとなるわけです。

 孟学農は北京市長だった2003年春、全人代絶賛開催中に北京で感染が広がったSARSの公表を渋った責任を取らされ、江沢民派と目され、安全宣言を出した衛生部長と痛み分けの形で解任され、今年1月に山西省長として復活するまで冷や飯を食っていました。

 党中央委員は解任されていなかったので復活は時間の問題だったのですが、再出発という矢先にまた引責辞任の憂き目に遭った上、後任が国家安全監督管理総局の局長というから驚きです。李毅中の責任はまったく追及されていないのに、同じ部署から後任が「安全対策の専門家」としてやってくるのですよ。あれ、おかしくね?監督官庁は責任取らないわけ?

 国務院事故調査組設立 王君・安全監督総局が組長に(2008/09/11 11:17 安全監管総局)
http://www.chinasafety.gov.cn/zuixinyaowen/2008-09/11/content_287833.htm
 事故現場で熱心に説明を受ける、馬凱(中央の黒ジャン)、王君(左のポケットにてを突っ込んでるおっさん)、張宝順(右の黒コート)、孟学農・・・あれ、孟学農だけ見当たらないぞ。

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 表面的だけでも日中友好関係は好転していると思っている中国と中国人に、冷水をバッシャバッシャと浴びせる調査結果。

 日本メディア「日中関係」の民間アンケート結果に注目(2008/09/12 23:41 青年参考)
http://qnck.cyol.com/content/2008-09/12/content_2356778.htm
■中国「日中関係良い」5割 日本と反対、食の安全影響(2008/09/08 21:26 産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/life/education/080908/edc0809082123003-n1.htm
 詳しい結果は産経の記事を読んで頂くとして、日本人の対中観が意外と悪いことに驚き、また納得し、安心もしています。

 「この1年で相手国に対する印象は変わったか」という問いに対し、改善されたと答えた日本人はたったの10%、「日中関係が今後良くなる」と答えたも32%と頼もしいかぎりですが、この結果が中国で拾われているところがいいですね。

 言論NPOでも指摘されていることですが、中国人の「改善」というのは結局党中央の意向をそのまま口にしているに過ぎないのですが、それがモロに反映されたことでこちらも安心しました。

■日中共同世論調査記者会見
http://www.tokyo-beijingforum.net/index.php?option=com_content
&view=article&id=350:top2008080908&catid=58:header
■2008年第4回日中共同世論調査
http://www.tokyo-beijingforum.net/index.php?option=com_content
&view=article&id=345:canvass4th2008&catid=83:canvass4th2008&Itemid=160
ニックネーム aquarelliste at 22:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 消息
この記事へのコメント
日本だと、200とか300とか、そういうレベルの人災が相次げば、知事どころか首相の首も危ないですよね。(逆に領海に潜水艦が入ってきても、大丈夫なところがありますが。。。。)

ほんと人命の軽い国なんだと思います。
うちの学生たち、あんまりこういう事故のニュースもしらないし。。。(半数ぐらいだとおもいます)

Posted by nhatnhan625 at 2008年09月16日 00:02
>>nhatnhan625さま
山西は毎年それくらいの人数は軽くクリアしてるので、一発で3桁越えしたからといってアウトというのはちょっと不公平かと。孟学農は依然として中央委員のままですし、副省長以下がクビなのに対して辞職→受理という温情ある裁定を見ると責任を取らせがっている人と、何とかかばいたい人がいるのではないかと思われます。

それにしても最近事故が多いですね。粉ミルクはもちろんとして、四川での交通事故、昨日は深センで火事が発生して40人がオダブツ。炭鉱での事故は2桁規模2回とスパートをかけてきた感がありますが、人間の値段が安いと関心も薄いでしょう。
Posted by aquarelliste at 2008年09月21日 23:29
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